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●ニーズにあった製品づくり |
──まず、技術部の仕事内容についてお聞かせいただけますか。 |
担当/私たちの仕事は、ユーザーニーズをカタチにし、製品化していくことです。例えば最近ですと、4WD車の電子制御のカップリングの部品を製作しました。車の4WDには、2WDと4WDを制御する機能がついています。従来、油圧式や機械式が主流でしたが、最近注目を浴びているのは電子制御式のものです。その中の部品として、カップリングが非常に重要な役割を持っているんですが、そこで使う部品の製造を依頼されました。 |
──依頼を受けて開発されていくわけですね。 |
担当/そうですね。開発をして、性能確保をして、そのうえで量産が始まります。この製品は結果的に生産量が増えましたので、社内の設備を拡張し、現在はかなりの生産量を確保しています。また、この製品を作っているのは、日本では当社を含めて2社しかなく、どの展示会でもトクハツをアピールすることができる製品と胸を張って言えますね。 |
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●ミクロンの技術 |
──開発されていく上で、どのような点に注意されるのでしょうか。 |
担当/この部品ですと一番難しいのが、ミクロンオーダーの寸法要求に対し、プレス成型しているところです。こうしたミクロンの技術と耐久性が大切なんですが金型が非常に欠けやすい、消耗しやすいんです。例えば数百個プレスして金型が駄目になるようでは生産なんかできないですから。採算ベースにのせていくのが、一番苦労したところですね。それをコストをかけずに社内で一貫生産をしたという点が、トクハツのポイントです。
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──具体的に、クライアントさんとのやりとりはどのようにして行うのでしょうか。 |
担当/月に二回ぐらいメーカーさんの方に通って、当社で試作したデータを持って行くことの繰り返しです。それを1年ぐらい続けまして、そうしているうちに小回り、フットワークの良さを評価していただき、「こんなの出来ますか?」という話を頂戴し、そこから2年ぐらいかけて開発をしていくわけです。足かけ3年ぐらいでやっと受注するということもざらなんですよ。 |
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●ローコスト、ハイレベルを目指して
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──車のサスペンションに使われるボールブッシュ用の部品では、高度な加工技術を開発されたと
お聞きしていますが…。 |
担当/これはタイヤが上下運動した時にサスペンションを保持する座金の一種ですが、プレスでバーリング穴の部分をダレなく成形したところが評価されたものです。地味なことですが、切削せずにプレスでここまでできるのがトクハツの技術力と言えるでしょうね。
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──最後に、こうした開発、加工についての「やりがい」についてお聞かせ下さい。 |
担当/私たちの頑張りどころというのは、一つは精度、ミクロンオーダーでの製品作りです。もう一つは金型寿命。あとは工程をスムーズにして、不良品を出さないと言うことです。私たちの業界は、特殊な機械を持って来さえすればどんなことでも出来るのですが、それを汎用機でやるというのが大切なことで、ひいてはそれがコストダウンにもつながります。汎用機械を使用し特別な製品を作り上げるというのが私たちの技術です。それと製品を作る際、重要なのが金型なんですが、その金型の設計と製作の技術力もトクハツの大きな柱です。結果として、ローコストでいい製品を生産するというのが理想で、そのために金型の技術や熱処理の技術が必要なわけです。ユーザーニーズと、トクハツの技術をうまく合致させていくというのが、私たちの大切な仕事ですね。 |